Category Archives: 重さ

200kgの金庫を置いたら床が抜けた話

身の丈に合わないことをすると、大惨事が待ってますよ、という話である。

私は現在大学に通っている学生だ。入学したばかりの頃は実家のある沼津からはるばる片道2時間半かけて大学に通っていたのだが、夏休みに入るころには通学疲れでうつ病になりそうになってしまったので、大学近くのアパートを借りて一人暮らしすることになった。両親は自宅でほそぼそと自営業をしているため、せめて家賃の安いアパートをと、必死に探してやっと見つけた築40年のアパートに住み始めた。古さは多少気になるけれど、2時間半のうち2時間10分を満員電車でオヤジ臭を嗅ぎながら通っていた頃に比べれば、片道5分の通学なんて屁でもない。

両親は一人っ子である私を心配し、たびたびアパートにやってきては、色々なものを差し入れしてくれた。初めは米や味噌などの食料品だったのが、だんだん洗剤やシャンプーなどの日用品まで加わり、さらに電気ポッドや髭剃りシェーバー(!?)などの電化製品と、だんだん差し入れが大型化していったので、私はどこかで歯止めをかけなければと思いつつもありがたく頂戴してしまうのだった。

だけど私は今、両親を止めなかったことを猛烈に後悔している。両親はとうとう、200kgもある金庫を持ってきてしまったのだ。実家に新しい金庫を導入したので、古いのをあげるわ、と上機嫌な母を見て、善意なのか悪意なのかわからなくなってしまった。しかもその金庫を置いて3日目、金庫が曲がっているのでどうしたことかと思っていたら、なんと床が抜けてしまったのだ!大学に通う貧乏学生の家に金庫を置いた両親も両親なら、このアパートもアパートだ。安普請にもほどがある。もちろん憤る気持ちは誰にもぶつけられない。両親に金庫を引き取ってもらい、一緒に大家さんに謝りに行き、床の弁償をし、と散々な目に合ってしまった。財産を守る金庫が家を破壊するなんて、本末転倒もいいところである。

次ページへ »